腸炎
腸炎とは
腸炎は腸に炎症が起こっていることで、それによって下痢など症状が出ます。場合によっては胃まで炎症がおよび、胃腸炎と呼ばれることもあります。お子さんでも腸炎を起こす原因は多くはウィルスが原因で、細菌や抗生物質の副作用がそれに続く原因です。ここではウィルス性腸炎のことを腸炎として説明いたします。症状としては下痢、むかつき、嘔吐、熱、お腹の痛み、だるさなどがあり、基本的に2週間以内によくなります。
なぜ腸炎になるの?
腸炎になる原因は腸炎の人を触れることでの感染や、食事や飲み物の中のウィルスから感染します。原因となるウィルスで一番多いウィルスはノロウィルスですが、たくさんの種類のウィルスが原因となります。体に入ってきたウィルスを追い出そうとして腸が活発に動いてお腹が痛くなったり、吐いたり下痢をします。ウィルスが体に入ってたくさん増えてくると症状が出るので、ウィルスの種類によって感染してから症状が出るまで時間にバラつきがあります。腸炎の多くは半日から5日間ほどかけてウィルスが増えてから症状が出るので、必ずしも症状が出る直前に食べたものが原因とは限りません。
人にうつるの?
腸炎は人から人にうつります。腸炎の人が触ったもの、また直接腸炎の人を触って感染します。そのため手洗いが重要となります。石鹸による手洗いで下痢になる可能性が47%下がるという報告もあります。手洗いについては爪の間や指の間、手首まで30秒かけてしっかり洗うようにしましょう。手洗いをするタイミングとしてはトイレを使用した後、料理や食事をする前、子どものオムツ変えた後が大事になります。また子どものオムツを変えるのは食卓の近くではしないようにしましょう。お子さんからもらわないよう、またお子さんにうつさないように注意しましょう。
どれくらいで治るの?
症状がどれくらい続くのかは原因となっているウィルスによって変わってきます。例えばノロウィルスの場合には2日間、ロタウィルスの場合には3〜8日間症状が続きます。時に下痢は長引くことがありますが1ヶ月以上続くことはまれで、その場合には別の病気を考えて詳しい検査を行います。
こんな腸炎には注意が必要
腸炎の主な症状は嘔吐や下痢、腹痛ですが、その症状がある人全てが腸炎というわけではありません。特にお腹の痛みが右下に移動する時や痛みが悪化する時、歩いてお腹に痛みがある場合には要注意です。盲腸など緊急性が高い病気が隠れている可能性があります。その他1ヶ月以上続く下痢や血便、抗生物質を飲み始めてから下痢が出現した場合も注意が必要で、こういった場合には詳しい検査を行う必要があります。嘔吐下痢があるだけで腸炎と決めつけずに診察を受けるようにしましょう。
少しでも症状を楽にするためには?
腸炎では脱水が一番問題になります。下痢は見た目よりも水分量が多いため、こまめに水分補給を取ることが大事です。ジュースや炭酸は症状が悪くなることがあり腸炎がよくなるまで避けるようにしましょう。食事は食べられるようであればおかゆなど食べやすいもので構いません。もし食べ物に気をつかわれるのであれば果物、野菜、お肉を食べる場合には赤身肉など(脂肪が少ないため)にして、糖や脂肪が多く含まれるものは避けるようにしましょう。赤ちゃんの場合には授乳を続けていただいて構いません。
お子さんの腸炎も大人と大きく変りません。しかしお子さんの場合には大人よりも脱水になりやすいので注意が必要です。ウィルス感染を広げないよう手洗いをしっかりして水分をたくさん取るようにしましょう。何か質問や不安なことがあれば中島医院で医師にご相談ください。
参考資料
2017 Infectious Diseases Society of America Clinical Practice Guidelines for the Diagnosis and Management of Infectious Diarreha
American Family Physician Gastroenteritis and Diarrhea in Children