糖尿病予備群(境界型)
糖尿病予備群(境界型)とは
糖尿病予備群とは糖尿病には至っていないものの、正常の人より血糖が高い状態のことを指します。正常の人と糖尿病型の人(糖尿病の判断基準)の間の境界にいるため、医師は境界型と呼んでいます。その判断基準は以下の図のようになっています。
糖尿病予備群は空腹時の血糖が110〜126mg/dLと定義され、現在、日本に糖尿病予備群は約1,000万人います。一般的には糖尿病予備群の段階では特にご自身で症状を認めることはありません。しかし糖尿病予備群の人は正常の人よりも心筋梗塞などを引き起こすリスクが高いことが証明されています。また正常の血糖の人の中でも血糖100〜110mg/dLの方は正常高値となり、今後糖尿病になる可能性が高いと証明されており、糖尿病予備群に含めることもあります。健診で血糖が100を超えていた時には悪くなる前に一度当院でご相談ください。
糖尿病ではないから気にしなくていいのでは?
健診で糖尿病予備群といわれた方の多くはご自身がたまたま高かっただけ、まだ大丈夫、と考えられる方が多いようです。しかし実際はそうではありません。先程述べたように糖尿病予備群の方は正常の人と比べて心筋梗塞などの病気になりやすくなると証明されています。また、糖尿病予備群は年間9%ほどが糖尿病になるとされています。特に高齢の方、男性の方、BMIが高い方、腹囲が大きい方では糖尿病を発症する可能性が高くなりますので注意が必要です。その他糖尿病の合併症(腎臓への悪影響、神経の障害、眼の病気など)も糖尿病予備群の人でもなりやすいとされます。糖尿病予備群はまだ糖尿病ではないため、医師の診療を受け、生活習慣の改善など治療に取り組めば多くの人で正常血糖に戻すことができます。糖尿病予備群は正常ではなく、病気である、という認識を持っておく必要があります。
検査の時には
空腹な状態で血液検査をする必要があります。空腹とは、10時間以上何も食べていない状態で、この時にはカロリーのある飲み物も飲まないようにしましょう。水やお茶であれば検査の前に飲んでいただいて構いません。
糖尿病予備群から正常な血糖に戻るためには
基本的には糖尿病の食事療法、運動療法に取り組む必要があります(詳細は糖尿病予防・進行を防ぐための食事・運動とは)。食事や運動などを注意しながらダイエットで体重を落とせば落とした分だけ糖尿病になるリスクは減ります。そしてしっかりと治療に取り組めば心臓病や眼の病気を発症するリスクを減らしてくれます。
症状がないだけに軽視されがちな糖尿病予備群や正常血糖高値の方ですが、糖尿病になるかならないか、瀬戸際のところなのです。決して侮らず、予備群の段階で踏みとどまれるよう一緒に治療を考えていきましょう。
参考資料
糖尿病治療ガイド2018−2019
厚生労働省 平成28年「国民健康・栄養調査」の結果
Prediabetes diagnosis and treatment: A review. World J Diabetes.