かぜ
かぜとは
子供と大人の風邪には大きな違いはありません。ただ子供は大人よりも風邪にかかる回数が多く、症状も長引きやすいとされます。風邪は鼻やのどにウィルスが感染した結果おこる病気と定義されており、ほとんどが自然とよくなります。症状としては鼻づまり、鼻水、くしゃみ、のどの痛み、咳、発熱、頭痛、だるさなどがあります。子供では鼻づまり症状が目立ちます。自然に治るといってもこれだけ様々な症状があると大変です。症状を和らげる薬について医師と相談しましょう。また、熱以外の症状も重要で、熱があっても喉や鼻、咳の症状がない時には風邪以外の病気の可能性があります。
風邪をひくのはなぜ?
風邪をひく原因はウィルス感染です。ウィルスがのどで増えた結果、身体の防御反応と戦ってのどがはれたり、咳や鼻水にウィルスを入れて外に追い出そうとします。風邪を引き起こす原因ウィルスはたくさんの種類があります。また、同じウィルスでも100種類以上の菌株を持つウィルスもよくいます。そのため風邪が治ってもまた別のウィルスに感染したり、同じウィルスでも違う菌株に感染したりします。大人では平均して年に2、3回、子供では年に8〜12回も風邪を引きます。
人にうつるの?
症状が出てから最初の2〜4日は人にうつりやすいとされます。人にうつるのは手もしくは口からうつることがほとんどです。風邪を引いている人が鼻などを触ると、ウィルスは手につきます。すると数時間は皮膚にとどまり人に感染する恐れがあります。そのまま手すりやドアノブ、リモコンなどを触ってしまうと人から人にうつってしまいます。また咳やくしゃみで空気中にただようウィルスが目や鼻、口から入って感染することもあります。
保育園や学校は休まないといけないの?
インフルエンザなどと異なり風邪の場合には学校を休む基準はありません。ご本人の症状がよければ通学していただいて構いません。ただし熱がある時や食事が取れないなどでは授業もままなりませんのでつらそうな場合はお休みするようにしましょう。
風邪がうつらないようにするには?
風邪は人から直接もらうことが多いですがそれだけではありません。触ったものの表面や空気中にウィルスがいて感染する可能性もあります。その予防としては手洗い、うがいが重要になります。手洗いについては爪の間や指の間、手首まで30秒かけてしっかり洗うようにしましょう。手洗いをするタイミングとしては鼻をかんだ時、くしゃみをした時、料理や食事をする前後、マスクをする前が大事になります。くしゃみや咳をする時には手で口を覆わずに、テッシュやマスクで覆うようにしましょう。ウィルスが手につくのを防ぐためです。とっさのくしゃみの場合には肘や袖の部分で口を覆うようにしましょう。
どれくらいで治るの?
子どもでは10日間治るのにかかります。ただ、鼻水や咳だけ10日間を超えても続くこともあります。よくある風邪、と医師が判断するのは咳、鼻、のどの症状が同じ程度の強さで存在し、のどの痛み、発熱が2、3日で良くなって、咳だけが1週間ほど残る、というパターンです(例外もあります)。そのため熱が3日以上続く時や、10日以上症状が続く時には他の病気が合併している可能性があるので医院に受診して診察を受けましょう。
早く良くするためには?
症状を和らげる薬以外に症状を早く良くすることができるものはあまりありません。また風邪薬に関しても海外では6歳未満にはあまり使わないようが良い、とするのがスタンダードです。しかし症状が辛く食事がとれない時や眠れないなど程度が強い時には薬を使った方が良いことがあります。また日常生活ではビタミンCをとると少しだけ治りが早くなるという事は子供でも証明されていますので少しでも早くよくしたい時には食べるように心がけると良いでしょう。ちなみにビタミンCが豊富な食材はアセロラ、キウイ、柑橘類、いちごなどです。
風邪だから大丈夫?
風邪の中には風邪をきっかけとしておこる合併症があります。副鼻腔炎(蓄膿)、気管支炎、肺炎、喘息、中耳炎などがあります。合併症が起こる場合には基本的に風邪をきっかけとするため、風邪が一旦良くなったと思ったらまた熱が出てきた、咳が増えた、など悪くなってきた時にはこれらの合併症を考えます。
風邪には抗生物質?
風邪に抗生物質は効きません。なぜなら抗生物質が効くのはばい菌(細菌)だけで、風邪の原因となるウィルスには効かないからです。風邪の症状があって抗生物質を使う時は溶連菌というばい菌による扁桃炎の時、もしくは風邪が起こす合併症にかかった時だけです。肺炎予防のために抗生物質を飲んだほうがいいのでは、とお考えになるかもしれません。しかし風邪に対して肺炎を予防の抗生物質は有効とはいえません。海外の研究によると風邪に抗生物質を12,255回処方して1回の肺炎を予防する程度の効果しかないと報告されているからです。また、抗生物質を不必要な時に使用していると抗生物質が効きにくい菌に成長してしまう可能性があります。このように抗生物質が効きにくい菌を耐性菌といいますが、日本を含めた世界で現在問題となっています。このままのスピードで耐性菌が増えていくと製薬会社が抗生物質を新しく作るスピードをうわまってしまい、2050年には耐性菌による死亡ががんによる死亡を上回ると予想されています。そのため抗生物質は使う必要がある病気までとっておく、というのが大事な考えです。
風邪といっても症状は人それぞれで、薬もご本人の症状に合わせて調製する必要があります。風邪だから医院に行くのに気がひける、などお考えにならずご本人の症状を和らげるお手伝いさせていただけたら、と思います。風邪に関して何かご質問があれば中島医院でご相談ください。
参考資料
Risks and Benefits Associated With Antibiotic Use for Acute Respiratory Infections: A Cohort Study. Ann Fam Med.
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