溶連菌

 溶連菌とは

溶連菌とはA群レンサ球菌という名前の菌のことです。おもに喉や扁桃線の感染症(咽頭炎、扁桃腺炎)の原因菌です。溶連菌は抗生物質治療をした方がよい喉の感染症の数少ない1つです。5〜15歳のお子さんの咽頭炎の1530%は溶連菌が原因と言われています。ここでは溶連菌性咽頭炎・扁桃炎について主にお話しします。

どんな症状が出るの?

主に喉の痛みに伴って高い発熱、頭痛、腹痛、吐き気、おうとが起こります。喉の感染症にも関わらず子供ではお腹の症状が出ることがあります。典型的には咳や鼻水はあまりありません。また口の中に赤い点々とした発疹ができたり扁桃線に白い膿がついたり、体の皮膚に赤い発疹が出ることもあります。症状は3〜5日で落ち着いてきます。3歳未満の子供ではそこまで高い熱は出ず、発熱だけ、または鼻水だけしか出ないこともあります。

どうやって検査するの?

溶連菌の検査は喉を綿棒でこすって検査します。検査が出るまでの時間はおよそ10分間です。結果が陽性であればまず間違いなく溶連菌ですが、精度が7090%で本当は溶連菌に感染しても空ぶり(陰性)になることもあります。その場合には医師の判断で喉の検査を追加することがあります。クリニックによっては採血や尿検査をすることもあるかもしれませんが当院では必要ないと考えています。

溶連菌は怖い病気なの?

溶連菌に感染すると高い熱を出してぐったりしますが、ほとんどが3〜5日でよくなります。ただしまれに合併症を起こすことがあります。合併症としては中耳炎、副鼻腔炎(蓄膿)、扁桃周囲膿瘍(のどに大きな膿を作る病気)、筋肉の感染症、腎炎、リウマチ熱(関節や心臓に炎症を起こしたりする病気)、ショック状態、などさまざまな病気を引き起こします。 

抗生物質は必ず必要なの?

抗生物質による治療の目的は合併症予防です。溶連菌の合併症である中耳炎、扁桃周囲膿瘍、副鼻腔炎、リウマチ熱になる可能性を減らしてくれます。ただしその他の合併症には予防効果はありません。その他の抗生物質を使用することで症状が少し早く良くなるといわれています。その他抗生物質を使用すると、翌日からは人にうつらなくなる、といったメリットがあり抗生物質は使用する必要があります。薬は10日間分処方されますが途中で症状が良くなっても飲みきる必要があります。途中で辞めてしまうと次に同じ溶連菌に感染した時に抗生物質が効かなくなることがあるためです。

いつから保育園や学校に行っていいの?

抗生物質を飲み始めて1日経過すれば人にうつる可能性はなくなるので通学することができます。熱や喉の痛みが落ち着けば医師の診察はなくても通学していただいて構いません。

溶連菌をうつさないようにするためには?

溶連菌にならないように最も注意しないといけないのは手洗いです。咳や鼻をかんだあと、料理をする前や食事前にはしっかりと手を洗うようにしましょう。当たり前のことなのですが100%しっかりやるのは意外と難しいです。

 

いかがでしょうか。溶連菌はよく聞く病気なのでご存知かもしれません。でも意外と合併症があったり、尿検査が必要というクリニックがあったりご存知ない点もあったかと思います。中島医院では医学的に根拠を持った診療を行えるよう日々取り組んでおります。検査ご希望の方、ご相談希望の方はどうぞご来院ください。

 

参考資料

American College of Physicians and the Centers for Disease Control and Prevention: Advice for high-value care for the appropriate antibiotic use for acute respiratory tract infection in adults.

Infectious Diseases Society of America: Clinical practice guideline for the diagnosis and management of group A streptococcal pharyngitis. Update 2012