睡眠時無呼吸の症状とは

睡眠時無呼吸をご存知でしょうか。
電車やバスなどの交通機関の運転手の方の居眠り運転で話題となりました。
睡眠時無呼吸の方は何百万人もの方がその可能性があるといわれていますが、実際の人数は不明です。
多いのは男性で、年齢50、60代とされています。
睡眠時無呼吸の方は心臓病へのリスクも高いことがわかってきており、
ただ居眠りするだけの病気ではありません。

睡眠時無呼吸の症状とは

睡眠時無呼吸の症状としては睡眠中の症状と日中の症状があります。
荻窪にお住いの方で当院に睡眠時無呼吸で相談される方の多くは家族からいびきや呼吸が一時的に止まることを指摘され来院される場合かご本人が日中の眠気がひどい、とのことで相談に来られる場合です。
しかしその他にも以下にある症状で睡眠時無呼吸が原因のことがあります。

睡眠中の症状

  • いびき
  • 呼吸のリズムが不安定、また一時的に呼吸が止まる
  • 体動を繰り返す
  • 頻繁に目が覚める
  • 頻尿や夜の尿の回数だけ多い

日中の症状

  • 眠すぎてしまう
  • 居眠りをする
  • 起床時に頭痛がする
  • 記憶力や集中力が低下する
  • 性欲の減退
  • 性格が変わる
  • 労作をするときに息切れがする

睡眠時無呼吸は何が怖いの

睡眠時無呼吸で一番困るのは日中の眠気に伴う事故です。
その他にも中等度から重症の睡眠時無呼吸では心筋梗塞や不整脈、脳梗塞が起こりやすくなるという研究結果があります。それだけでなく、睡眠時無呼吸を持つ人は高血圧やメタボリック症候群、糖尿病になりやすいとされています。
さらに重症の睡眠時無呼吸の方は死亡率が2〜3倍高いとされています。
例えば高血圧やコレステロールが高い人であれば採血ですぐにわかりますが、
睡眠時無呼吸は特別な検査を受けなければならないため、
また周囲の人に指摘されないと気がつかない、
本人は何も困っていないため検査を受けていない人が多いのが現状です。
このように生活習慣病の1つとして、
睡眠時無呼吸が治療しなければならない病気の1つであることを認識する必要があります。

どのような人が睡眠時無呼吸になりやすいの

以下の項目が睡眠時無呼吸のリスクとして研究で証明されているものになります。

  • 年齢:年齢が高いほど睡眠時無呼吸になりやすいとされています。子供でも睡眠時無呼吸になることがあり、60〜70台まで加齢に伴ってリスクが上昇します。

  • 性別:睡眠時無呼吸は男性の方が女性より3倍ほどなりやすいと報告されています。女性の場合には閉経した後の方が睡眠時無呼吸になりやすいようです。

  • 肥満:体重が10%増加すると睡眠時無呼吸のリスクが6倍になると報告されています。またBMIが25〜30の人では普通の人の2倍睡眠時無呼吸になりやすいのです。

  • 顎の形:下顎が生まれつき小さい場合や首が短い方、その他扁桃が大きい方は睡眠時無呼吸になりやすいです。

その他成人では鼻中隔湾曲や鼻炎、タバコ、アルコール、睡眠薬の使用も睡眠時無呼吸のリスクといわれています。

睡眠時無呼吸はどのように評価しますか

睡眠時無呼吸を疑う症状やリスクがあった場合には問診と診察を行います。

問診では主に以下の項目について伺います。日中の眠気を判断するためのアンケートです(日呼吸会誌第44巻第11号P897より一部変更して転載)。

以下の項目で

ウトウトする可能性

ほとんどない

少しはある

半々くらい

高い

座って何かを読んでいる時

(新聞、雑誌、本、書類など)

座ってテレビを見ている時
会議や映画館、劇場などで静かに座っている時
乗客として1時間続けて自動車に乗っている時
午後に横になって、休息をとっている時
座って人と話している時

昼食を取った後(飲酒なし)、

静かに座っている時

座って手紙や書類などを書いている時

5点以上の点数になった場合には睡眠時無呼吸の可能性があり、11点以上では明らかに陽性と判断します。

その他診察で喉の奥にスペースがあるか、鼻の狭窄があるのかなどを確認します。

睡眠時無呼吸の検査方法は

睡眠時無呼吸の確定診断には終夜ポリソムノグラフィーという検査が必要です。
この検査は入院して脳波や呼吸の状態、血圧などが無呼吸に関連して変化するかどうか、確認します。
正確に評価できますが、入院して検査するのはなかなか社会生活をしている方では難しいことが多いと思います。
そのため当院では簡易ポリグラフィという検査を実施しています。
こちらの検査は入院せず、ご自宅で検査をすることができます。
当院で説明と同意書にサインをいただいた後に検査機器メーカーより後で電話があり、検査キットが郵送されてきます。
郵送された検査キットを用いて1日または2日夜寝るときに検査キットをつけて評価します。
その後検査キットをメーカーに郵送していただき、データが当院に2週間ほどで送られてきます。
簡易検査のため重症の場合はすぐに治療対象となります。

通常、入院精密検査が必要な軽症〜中等症の場合も、
当院は入院せず、自宅で精密検査が可能です。
検査の費用は3割負担の方で約11,470円(初診料を含めて)となります。

睡眠時無呼吸の治療法は

重症と判断された場合にはメーカーからCPAP(シーパップ)という治療法が標準的です。
鼻先まで空気の圧を送り込み、それによって息の通り道が狭くなっているところを広げる治療法です。
この治療によって快眠が取れるようになる方が多くいらっしゃいます。
その他体位を横にして眠る、マウスピースをつけるなどの方法があります。
しかしこれらは症状は楽にしてくれますが根本的な治療法ではありません。
肥満のある方の場合には減量が最も唯一の治療法とされています。

 

いかがでしたでしょうか。
睡眠時無呼吸はただ寝不足になる、というだけでなく心筋梗塞や脳梗塞、死亡に繋がることもある事に留意して検査を受けるようにしましょう。
荻窪あたりにお住いの方で睡眠時無呼吸の検査を希望の方は、
どうぞ中島医院までご相談ください。